太田宗夫先生からのメッセージ

増茂誠二君に期待するもの

 

既に十年になるが、当初 増茂誠二君が救急救命士業務の発展に努力を傾注する姿とその心意気に、私は敬服の念を抱いたものである。

彼の活動の原動力とその信条が、ときには苦い、ときには誇れる、救急医療の最前線で得た経験の蓄積により磨かれたものであることは明らかである。これが彼の活動の力強さ、幅の広さ、また高い説得力と広い信頼度を保証している。

結句、同氏の活動は救急医療全般に及ぶが、それは救急医療が単に市民の日常に関わるからだけではない。どれほど高い経済力を持ち高い社会的地位にあろうと、火急の場面で例外なく求めるのは健康と生命であるという実際を医療者は体験している。更に、救急医療体制に潜在する多様多彩な困難性からの脱却に、いかに微力なりとて貢献することに責任感と使命感を抱いている。これを医療者だけで具体化することが不可能であることも承知している。

実際に、コロナパンデミックを契機に表面化した救急医療の危機は、医療問題という認識から社会問題という認識にまで発展させた。一人で多くの人命を救うことはすべての医療者の悲願であり、国民的な悲願でもある。同志 増茂君は、勇気をもってこの悲願に無欲でチャレンジしているのだ。

私は阪神淡路大震災を通して次のように訴えている。すなわち、“一つの社会が、まさかのときのためにどれだけ備えているかは、その社会の成熟度を計る尺度である”。

増茂君もこの思想に共感する一人だが、彼の精神は多くの医療人を納得させ、彼の活動は多くの市民にその妥当性を承認させるだろう。彼の活動がさらに活性化することを期待している。

 

医学博士 太田宗夫先生

日本救急医学会会長、日本外傷学会会長、アジア太平洋災害医学会会長、日本集団災害医学会会長、世界救急災害医学会会長、世界人道医学会 副会頭、全国救急救命士教育施設協議会 代表理事などを歴任。大阪府立千里救命救急センター名誉所長。旭日小綬章 叙勲

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